とりあえずお弁当を確保して着席した
近くのテーブルでは何やら偉い雰囲気の人が今日のどこどこの現場はどういう配置にするかみたいなことを話している
他の人はテレビを見たり、たばこを吸ったり、飲み物を飲んだり、スマホを見たりと思い思いに過ごしている
俺はといえば、とくにやることもないので、室内にいる奴らの様子をぼんやりと観察しながら過ごしていた
すると、「現金さん集まって!」という声がした
現金さんとは俺たち日雇い労働者のことだ
10人ちょっとが集まり、まずは点呼
偽名を使っているので、名前を呼ばれても一瞬ぽかんとして間が開いてしまった
危ない危ない
そして、正社員的な人の中から今日の現場の班長というか、リーダーみたいな人が決まり、その下につくメンバー(現金さん)が決まった
俺のとこのリーダーは50くらいの社員っぽいのおっさんで、サブリーダーは70くらいの上前歯が二本ともないおじいさんだ
その二人の下に俺たち最強4人組の計6人が今日のチームらしい
よろしくな!
その後はふわっとチームごとに分かれて待機
班長たちは役割分担の打ち合わせみたいのを始めた
すると、突然班長が俺の顔をジッとみたかと思うと、「兄ちゃんは、わしと一緒に今日は水場作業しよか」と言ってきた
何か見込まれてしまったらしい
何かはよくわからないが、いやですとはいえないだろう
他の人は、コンクリートをはつって、そのコンクリート殻を捨てる殻出しの仕事らしい
俺も今日は殻出しだと聞いていたけど、違う感じになってしまった
水場作業ということでなんとなく大変な予感がぬぐえない
今日の仕事の役割分担も決まり、6時半ころ、いつ出発するのかなと思いながらテレビでニュースをぼんやり見ていると、急に知らないおっさんから「おい兄ちゃん、いかないかんで」と言われた
誰?と思ったが、それより
見回してみると、同じ班の人たちはもう室内にいない
テレビに夢中になって他の人が出て行ったのに全く気が付かなかった
一言くらい言ってくれてもいいんだぜ?
慌てて支度し、いそいそとハイエースに乗り込み出発した
出発し、朝一緒にマイクロバスに乗り込んだ最強4人組の一角のガラ悪20代金髪男がいないなと思ってはいたが、間違えて別の40代の冴えない感じのおっさんを連れてきてしまったことが出発してから20分後くらいに判明した
一度建設会社に戻ったが、20代の男は別の現場に行ってしまっており、もういなかった
まあいっか、みたいな感じで、別のおっさんを連れて、再度今日の現場へ向けて出発した