兄ちゃん、現金いらんか?と言われ、車内に乗り込むと、おっさんしか車に乗っていないと思っていたけど、20代、30代の人も若干いるのがわかった
しばらく座っていると、車内で名前が呼ばれ、呼ばれた人は別の車に乗り換えさせられていた
この時呼ばれた人は「手帳持ち」と呼ばれていた
何かの資格か何かを持っているんだろうか
よくはしらない
半分くらいが車を移動し、残ったのは手帳持ちじゃない俺を含めた4人の戦士たち
70代くらいのおじいさん、20代のガラの悪そうな恰幅のいい金髪、40代の小汚いランニングシャツのおっさん、俺
4人の最強ユニット爆誕である
とてもバラエティに富んでいると我ながらそう思う
5時半過ぎに、出発しま~すという声の元、マイクロバスがどこかに向けて走り出した
静かな車内、揺られること30分程度だろうか
6時ころ、車はどこかの会社へ到着した
M建設と書いてある
まだ6時だというのに20人くらいが建物に出たり入ったりとうろちょろしている
朝からせわしいぜ
俺以外の戦士は淀みない動きで車から降り、慣れた様子で荷物を外の柱のあたりに固めて置き、平屋の待合室みたいな建物へと入っていった
俺以外は勝手がわかっているような感じだ
説明は一切ない
どうすんだよこれと思ったが、素人とばれると舐められると思ったので、
空気を読んで行動することにした
俺も他の奴に続いて、おすまし顔で建物へと入った
建物の中は入ってすぐ右手に名前の札が所狭しとかかっているボードがあり、その横には自販機、そして室内のほとんどがテーブルで占められていた
部屋の一番奥の壁際には配膳台みたいな机があり、何個か置かれた鍋と給食係みたいなおっさんがいて、その横には山積みになった弁当が置かれていた
勝手が全然わからないし、誰一人説明してくれるような人はいないので、バスで一緒だった70代の歴戦の戦士を観察することにした
おじいさんはよどみない動きで壁際に置いてあった箸とビニール袋を手に取り、給食係をスルーして、山積みになっている弁当を誰の了解をもらうでもなく、自然な動きでビニール袋に詰めて、室内にいくつもあるテーブルの一つに着席した
なるほど、そういう仕組みか
少し読めたぜ!
山積みになっている弁当は無料でもらえる今日の昼ごはんなんだろう
俺はおじいさんの動きをトレースし、箸とビニール袋を取り、給食係をスルーして山積みになっているお弁当をビニールに詰めて着席した
完璧だ、誰も俺が素人だとは思うまい
写輪眼をマスターしておいてよかった
もし朝ごはんが食べたければ、配膳台にいるおっさんに言えばごはんとみそ汁がもらえるんだろう
無料で食べれるというのは実にありがたい話である
早い時間の朝ごはん食べない派の俺にはあんまり関係なかったけどな
10時くらいの朝ごはんなら食べられるんだけどね