よくわからない商業施設の床屋で散髪をして、さっぱりしたところでさらにさっぱりするべくサウナへ向かうことにした
サウナってなんかさっぱりしそうな感じするからな
ロシア=サウナみたいな感じもあるしな
向かったのはbaumanskaya駅の近くにあるサウナ
たぶんここだ
駅から徒歩で現場へと向かった
印のついている建物の前まで来たが、どうにもサウナっぽくない
四階建てくらいの建物で、入口にゲートがあるし、建物に入る人を警備員みたいなのが窓口でチェックしている様子が伺えた
外からしばらく様子を伺っていたが、学生っぽいやつらが出入りしている
もしかしてこれ学生寮じゃない?
そう思ったが、地図がここを指しているので、もしかしたら万が一サウナかもしれない
15分ほどあれこれ考えた末、とりあえずサウナかどうか警備員みたいな人に聞いてみることにした
恐る恐る玄関から中に入り、入ってすぐの右手にある窓口をノックしてガラガラと小さな窓を開け、「エ、エクスキューズミ~」と声をかけた
すると怪訝な顔をした男が近づいてきて、なにやらほにゃほにゃと何かを話しかけてきた
大方「どうかしましたか?」とか「何か御用ですか?」とか
そんな感じだろう
何言ってるかわからなかったけど、ここはサウナですか?と聞いてみた
男は、えっ?みたいな感じで一瞬ポカーンとした後、サウナはここじゃなくてあっちだみたいな感じで、向かって左の方をなにやらゆび指すようなしぐさをした
いちおうお礼を言って、男の指さした方へ歩いていくと、建物の向かって左に細い汚い道が奥へと続いていた
ずんずん歩いていくと、何やら小汚い横に長い建物が見えてきた
壁に沿って歩いていくと、サウナっぽい入口をなんとか見つけることができた
中に入ると、入ってすぐ狭いスペースに設けられた受付があった
おばさんがいたが、何も声はかけてこない
入口に椅子が4つくらい並べられており、小汚い恰好の20代の男女がイチャイチャしつつじろじろこちらを見ながら何も言わず座っていた
え?どういうことなの。どうすればいいの
この男女は何なの?客?待ってるの?
なんで何にも言ってこないの怖いんですけど
しばらく沈黙が続き、耐えきれなくなり
俺は床を指さし「サ、サウナ?」とだけカスカスで今にも消え入りそうな声を発した
するとおばさんは頷いたものの、えっ一人?こいつマジ?何この外国人
みたいな顔をしていた
おばさんのリアクションは無視して俺は
「イエス、サウナサウナ」
というと、どの部屋で何時間コースにするんだい?みたいなことを言われたような気がした
なんにもわからなかったが、スマホの電卓を駆使して2時間ほどサウナを借りることに成功した
女が奥から出てきて、部屋に案内された
部屋の中はめちゃくちゃ広く、ビリヤード台やカラオケマシーン、8人掛けのソファなどのおいてある広間、ベッドがおいてある部屋が2室、水深2m奥行5mくらいの小さなプール、スチームサウナ、普通のサウナ、シャワー
などの設備があった
中に入って思ったね
ここは一人で来るところじゃねえな。あの受付のおばさんのリアクションにも納得だわ
ってさ
ベッドがおいてある部屋とか完全にギシアン用でしょこれ
お姉ちゃんも呼んでもらえるというような情報をネットで見ていたが、ここでふと点と点がつながったような気がした
あの入口でいちゃついていた小汚い男女
あの女がそういう女であそこで待機していて、男は付き添いでいるヒモか何かなんじゃないか?
小汚い女は黒髪のブスだったから、そう思うと俄然萎えてしまってね
なんかもういいや気になってしまったので、一人で二時間サウナを使うことに決めた
今でこそサウナがそこそこ好きになり、最低3セットはこなすし、水風呂の温度は俺的には18°が一番いいなとかわけのわからないことをいうくらいにはなったが、当時の俺は悲しいほどのサウナ童貞だった
サウナの外に大きな水風呂があったが、俺はこれがプールだとマジで思っていた
とりあえず、スチームサウナに入ってみた
なにやら生臭い感じがする室内、10人くらいは入れるんじゃないかというようなサウナでポツンと一人、サウナに来たもののどう嗜めばいいのかわからず途方に暮れた
とりあえず、スチームサウナで限界まで耐えてみることにした
5分で限界だった
5分後、さっとシャワーを浴びて、プールにドボンといこうと思い、プールまで行き、一応入る前に手だけ入れてみた
何これめちゃくちゃ冷たいんですけど
えっ?これプールじゃないの?やられた!
あまりの冷たさに震えあがった俺は、水風呂に入るのをすぐにあきらめ、シャワーのぬるい水で体を冷ました
2回ほどサウナに5分ほど入り、シャワーで体を冷ましたところで俺はこう思った
サウナはもういいや
と。
時間が90分ほど余ってしまい、もう正直出たかったが、受付の人に、こいつ何しに来たの?と思われるのが何やら恥ずかしく、一人でビリヤードをやったがそれも5分で飽きて、残りの時間はだらだらスマホをいじって無為な時間を過ごしたのだった