最終夜、お姉ちゃんのほとんどいないピアノバーで一人、飲み納めをしているとニューヨーカーのジェフに話しかけられ、一緒に飲むことになった
アメリカ人ともなるとキューバが近いしちょこちょこ来れそうだし、いろいろ知っているかと思ったが、話を聞いてみるとキューバに来たばかりだしほとんど何も知らなくて逆に俺にほかにどんなとこがあるのか聞いてくる始末
さすがホテルを取っているだけのことはある
俺以上の雑魚である
しばらく雑談をしていると、ジェフが
俺のホテルすげえんだぜ
みたいなことを言い出した
曰く、天井も高いし、非常にハイステータスなホテルだという
まじですげえんだよ、マジ豪華、ピアノバーにお姉ちゃん来るまでしばらく時間ありそうだし、せっかくだから一回見に来てみなよ
と誘われた
まあ確かにお姉ちゃん全然いないし、せっかくだしちょっと観に行ってみるかと思いジェフのホテルへ行ってみることにした
ピアノバーから東の方へと歩き、到着したのはセントラルホスピタルの近く
wifiでおなじみのパルケセントラルの隣のホテルだった
確かに大きいホテルではあるなと思いながらエントランスから中へ入り、何階か忘れたがジェフの部屋へ到着した
部屋の中はまあ確かにそこそこ立派であるが、驚くほどのものではなかった
一応お世辞でほめておいた
とりあえずビールでも飲もうよと椅子を差し出され、椅子に座った
ジェフはビールを冷蔵庫から取り出し、ビールを俺の座っている椅子の横のテーブルに置き、なぜか座っている俺の膝の上に正面から座ってきて腕を撫で撫でしてきた
は?何してんだコイツ?
意味が分からずぽかんとしてしまった
我に返り、ちょ、とりあえずちょっと待とうか、まじで
と言ってジェフと膝の上からどかした
なんかさっきまでとうって変わり、ジェフの雰囲気がナヨっとしている
ジェフが質問してくる
「どうかしたか?」
どうかしたか?じゃねえよ、お前がどうかしてるんだよ!こいつゲイじゃねえか・・・
ジェフはゲイだった
「ガールフレンドがいるのか?」
ジェフが質問してくる
いようがいまいがそこは関係ねえんだよ!
「俺は女が好きで、男は好きじゃねえんだよ」というと
「私は男が好きなんだ」とのこと
知らねえよ
何ともストレートな物言いである
ジェフはまた座っている俺に近づいて来た
今度は膝の上じゃなくて、膝と膝が当たるくらいの距離まで距離を詰めてきた
無理すぎる
「いや、ムリムリムリムリ」と言っていると
ジェフがまたナヨっとシナを作った感じで俺の腕を撫でてくる
俺が「ちょ、まじでそれはないわ」と言うと
ジェフが俺の上着を脱がそうとボタンに手を掛けながら「open your mind」と言ってきた
open your mindじゃねえよ!
さすがに菊次郎をDoされる趣味はないし、その逆も然りなので、そこで立ち上がり、「俺は帰る」と言い放った
ジェフはそんなこと言わずにもうちょっとここにいなよとか何とか言っていたが、「俺は男に興味はこれっぽっちもないからピアノバーで飲みなおす、ホテルの部屋見れてよかったよ、ありがとよ」と言って早歩きでジェフの部屋を後にした
ジェフが俺より背の低い中肉中背のおっさんで助かった
俺よりイカついやつだったらDoされてたかもしれなかった
今回わかったことは
お姉ちゃんと一緒にホテルへ行くと止められるけど、ホテルに男二人で入ってもエントランスで止められない
ということだろうか