昼の散策を水たばこでしめて、様子見を兼ねていったんカサへと帰った
カサへと戻ると隣の家の玄関が開いていて中にいるオヤジに俺が帰ってきたことが丸わかりだった
よもや夜もこのまま玄関が開きっぱなしじゃあるまいなと若干不安になる
シャワーを浴びて着替えたりしていると勝手口がノックされた
ドアを開けるとオヤジが立っており、「コーヒーいるか?」と言ってきた
もはやコーヒーお化けである
いやいらないと言ってお引き取りいただき、少しだけベッドに横になり休憩
8時過ぎに目を覚まし、夜の街へと出かけることにした
カサに固定電話があったので前日番号を聞いたドイツのジェントルマンに電話しようかという考えが頭をよぎったが、あまりの英語力のなさに電話をするのはやめておいた
ドイツのジェントルマンの話ではだいたいのバーは10時ころから開店らしいのでまだ時間があるということでとりあえずマレコンストリートへ行くことにした
マレコンストリートまでのんびり歩く
その道中公園があったが、wifiスポットになっているのか公園沿いの道路に若者がたむろして全員スマホを一心不乱にいじっていた
マレコンストリートに到着
相変わらずの人の多さである
とくにここで勝負する気もなかったで堤防に座ってぼんやりしていた
すると一人の肌の黒めの身長が2m近くあろうキューバ人の男が話しかけてきた
簡単な挨拶を済ました感じでなかなか英語が達者な男だ
雑談の中で「俺今日誕生日なんだ、今日で26歳になった」と言い出した
おいおいデジャブなんだが
それと同じセリフを前日も聞いたぞ
結果ほいほいついていったら20クックパクられたんだが
貴様昨日の一味かよすごくぶん殴りたい
でも身長でかすぎて恐ろしいわ
それにしてもなにこれマニュアルでもあるの?
これ日本人から金を騙し取るいろは情報商材出てるんじゃないのってレベル
とりあえず「ふーん」と返したら特にそれ以上は誕生日ネタは言ってこなかった
どうやら別の路線に切り替えたらしい
「俺が今から女を連れて来るからもし気に入ったらその子と一緒に俺が持ってる部屋でハッスルするっていうのはどうだ?その時はその部屋を10クックで貸すから」と言ってきた
部屋代で儲けようという腹積もりなんだろうか
俺は「いやいや、ご覧のとおり俺はマレコンで夜風を体に受けて涼んでいるだけなのだよ、女にはこれっぽっちも興味はないよ」と言っておいた
男は「いや、そんなはずはない、きっと君も気に入るはずだ、かわいい子連れてくるから」と食い下がってきた
めんどくさくなってきたので、わかったわかったじゃあ見るだけ見てあげるというと、男はどこかへ電話をしだした
どうやら女を呼んでいるらしい
どうやってネットにつないでいるんだろうか不思議である
10分ほど待っていると一人の女がやってきた
微妙というかなんというか正直ちょっとブスだった
男は、この女に50クックを払って、それとは別に俺に部屋代10クックというのでどう?と言ってきた
そもそもの話、俺はカサがあるので、10クック払って男の部屋に行く意味が全くないという話である
タクシー乗っても5クックで足りるからな
男に向かって、「すまん、全然タイプじゃないんだ、悪いけどその女には帰ってもらってくれ」と言うと、男は何が気に入らないんだとぶつくさ言っていた
だってブスじゃん、とはさすがの俺も本人を前にしては言えなかった
これみよがしに「さて、引き続き堤防で夜風に癒されますかな」と言って堤防で座っていたが、横の男はなかなか俺から離れていかなかった
鴨認定されたんだろうか
しばらく座っていると、男の兄貴分みたいなやつがやってきた
アニキの身長は俺より小さい
コイツなら勝てそうだ
3人でどうでもいい話の少し雑談をしていると
アニキがちょっとマレコンを歩いてお姉ちゃんを見て回ろうぜと言い出した
しつこいのでしぶしぶ了承して堤防をぶらぶら三人で歩き出した
やはりドーヴィルホテル周辺から少し外れると人が少なくなってしまい、お姉ちゃんはいなかった
しかしそのまま歩き続け、5分ほど西へ歩いて所で、2m近い方の男が「俺が貸し出せるって言ってた部屋が近くにあるんだ、ちょっと見てみない?近くに母親もいるから紹介もしたいしさ」と言い出した
どこにあるんだ?と聞くと、路地を一本入ったところだとのこと
さすがの俺も2m近い男とそのアニキ分と一緒に暗い路地の中へ入っていくのは無理だった
確実に金をぶんどられるに違いない
なんなら部屋まで行ったら死んでも不思議じゃないレベル
「いや、行かないよ、そもそもこっち全然お姉ちゃんいねえじゃねえか、俺はお姉ちゃんが多少いるさっきの場所へ帰るぞ」と言って有無を言わさず戻ることにした
詐欺るチャンスをあきらめきれないのか二人も後をついてきた
ちょっとうんざりしてきたので、「帰るわ」と言ってタクシーを拾い、マレコンを立ち去ることにした