「なにしてるのー?」
突然知らないインド人に流暢な日本語で話しかけられた
まあ全員知らないインド人なんだけどさ
それにしてもいきなり日本語で話しかけてくるとは怪しさの塊のような男である
つい応じてしまったのでしょうがなく歩きながら会話をする
「どこから来たの」「何してるの」「インドは何回目」「インドは他にどこかいったの」「何歳」等と流暢な日本語で質問を投げてくる
そんな会話の中で明日バラナシに向うんだけどまだチケットを買っていないという話をしたらここでチケット買えるよと言ってきた
まじか良いこと聞いたなと心のメモに書き残していると
一緒に買いに行く?と誘われた
いや、今金ないからホテルに金取りに行く途中だからと言って断った
すると今から一緒にご飯食べに行かない?とまた誘われた
曰く、俺と同じようにロシア人にも声をかけてそのロシア人と一緒に食べに行くから一緒にどう?とのこと
なんでも八時ころ待ち合わせだとか
知らないロシア人と一緒に飯って気まずいでしょ
英語もロシア語もしゃべれねえからな
そのロシア人だって急に変な日本人が着いて来たら嫌だろうぜ
それに今夜はシーシャがしたいんだと言うと
シーシャもあるよー、一緒にご飯食べてシーシャしよう!お酒だって飲めるよ!
押しがなかなか強い
俺が渋っていると
「怪しくないよー、インドまで来て一人でご飯はつまらないでしょ?せっかくインドに来たなら楽しまないと損だよ、日本人はインターネットにインド人に騙されたとか書いてあるからそれを見て警戒して心を全然開いてくれない、確かに悪い奴はいるよ、でもみんながそうと思われるのはとても悲しい、インドに来てそんな殻に閉じこもっているのは日本人だけだよ、ほかの国の人はもっと心が自由だよ、心をオープンにして楽しんだ方が絶対楽しいよ、インドは自由な国だよ、そんな自由な国で不自由にしてたらもったいないよ」
これだけのことを流暢な日本語で話してきた
なかなかたいした奴である
あれ?でもちょっと待てよ・・・俺、見知らぬインド人に説教されてない?
でも、いいか?よく聞け
俺は両替をしないといけないから金を取りにホテルに戻るんだ
だから今からご飯には行かない
と言うと
まだロシア人との待ち合わせまで時間あるから大丈夫だよ!
と言う
なんでこの男はこんな熱心に俺を誘うんだろう
サダルストリート横にある博物館の入口の辺りで待ってるからホテル戻ってからまた戻って来てよ、一緒に両替所だって行くよ、待ってるからね!
そう言われて俺は
わかった、わかった、とりあえず金を取りにホテルに戻るわ
そう言って俺はその場を後にしホテルへと戻っていった
男が一方的に告げた待ちあわせ場所に戻る気はさらさらなかったことは言うまでもない
なんせまだインドに来て一日目である
こんなところで躓いてはいられない