カリジョドの通りは500メートルくらいあり川に沿ってずらっと酒を飲めるバー的な建物がずらりと並んでいる
時間が早いので客の姿はない
店先に店員らしき人がだらだらと座って過ごしている
何もない所でぼーっと立っているのもどうかと思い
やることもないので北端から西へ進み時間がつぶせそうなところを探す
西の方の川沿いにアルファマートがあったのでそこで飲み物を買って店先で結局ぼーっとしてしまう
それにしても現地人しかいない中わけのわからん日本人が一人ぼーっと立っている状況を現地の人の目にはどう映っているのかなどとどうでもいいことまで考え始める始末
アルファマートの道路を挟んで反対側に移動式の食べ物屋台があったのでその屋台の様子を眺める
屋台の主は40~50のおじさんでそのおじさんの子供の姿もそこにはあった
最初は何気なくいやー俺と違ってちゃんと働いていて偉いなあくらいの気持ちで眺めていたが
小さいとはいえ店を構えて子供のためなのかどうかはわからないが一生懸命そうに働くオヤジ
店は一畳もないスペース
売り物は1つ100円するかしないかくらいのものだろう
楽しそうにしていたようには見えたがその背景的なものまで考えてしまうとなかなかくるものがあった
30分くらいこの屋台について考えながら過ごしていたらモリモリとテンションが下がって行ったね
なんか社会について考えさせられてしまった
ふとした瞬間に近くの川に飛び込むんじゃないかと思うくらい落ち込んできたのでいかんいかんと思い直し
7時ちょっと前くらいになったので再度カリジョドの通りを歩いてみる
相変わらず客の姿は見えないが川沿いのバーらしき店から音楽が流れているところもある
なんで客の姿がねえんだよここいつから始まるんだよと思いながら時間つぶしのため通りの南端から東へ向かって飯屋を探して歩く
人がいない飯屋に入る勇気は出ず最低でも一人客のいる店を探す
5分くらい歩いたところに屋台があり屋台の側面にナシゴレンの文字
客っぽいやつも3人くらいいるここしかないと思って店に近づいていった
屋台には店のオヤジ、子供、おっさん3人の5人がいたおっさんはカウンターみたいなところに座っていたので客だろう
オヤジはカウンターの中、子供はオヤジのいる調理場の横にいる
この子供は店のオヤジの子供だなと思いオヤジよりも近くにいた子供にナシゴレン一つくれと声をかけた
子供は俺を指してオヤジに何かを伝えしばらくしたらオヤジからビニール袋を受け取りどっかへと歩き去って行った
子供も客だった
すごく恥ずかしい
子供からしてみればお使いなのかなんなのかとりあえずナシゴレンを買いに来て待っていたらいきなりわけのわからん東アジア人にナシゴレン!とか言って声をかけられ、話しかけても通じず向こうからは人差し指を立てられ迫られたこの状況
正直俺だったら相当怖い
子供が帰った後オヤジが話しかけてきて何か言ってきた
言葉は全くわからなかったが状況から推察するに3人客がいるからちょっと時間かかるよとかそんなことだと思う
確信はいまいちなかったしそもそも注文がちゃんと伝わっているかも怪しかったがとりあえずカウンターに座って待つことにした
10分くらいしてオヤジがカウンターから出てきてまた話しかけてきた
またも全く言葉はわからなかったが注文はナシゴレンでよかったか?とかそんなことだろうと勝手に解釈し、そうだナシゴレンをくれと言い放った
その後もオヤジはホニャホニャ何かを言っていたがさっぱりなのでとりあえずうんうんと頷いておいた
そうするとオヤジはこりゃだめだという具合に何かを伝えるのをあきらめて調理に戻っていった
オヤジの調理を眺めているとふと頭をよぎるものがあった
オレ、カウンター、スワル
カウンター、モノ、タベル
コドモ、フクロ、カエル
コドモ、カウンター、タベナイ
さっきオヤジが伝えたかったのはここで食べるのか持ち帰るのかということなんじゃないか?
ハッ!として顔を上げるとオヤジと目があった
次の瞬間
俺は下というかカウンターを指さした後何かを食べるような感じのジェスチャーをしてみた
強面のオヤジがニコッと笑い頷いた
言葉の壁を越えて
ここで食べていきます
わかりました
と心が通じ合った瞬間だった
ナシゴレンの値段は10000ルピア
すごく安い
地元民に売るための店だからだろう
マリオボーロホテルの近くでハエにたかられながら食ったカレー味のナシゴレンは40000ルピアしたというのにすごい差だ
値段は4分の1なのにマリオボーロホテルの近くの店より全然うまかった
うまかったのはいいんだが店が屋台のせいか電灯も大した設備がなく非常に暗い
そのせいで料理がよく見えないなんかナシゴレンが黒っぽく見える気もするが気のせいだろうかちょっとお腹が心配である
それにしてもナシゴレンに必ずのっているあのカニチップみたいなやつなんだろうね
ナシゴレンに合うかといわれると別に格段合うというわけでもないし毎回これいったいなんなの?と思ってしまう
腹も膨れたしいよいよ本番である